”新”岩岳ゴンドラ乗車レポート

索道レポート

2025/3/26(撮影日:2024/12/21)
”新”岩岳ゴンドラ乗車レポート


ハイライト

記事にするのが遅くなりましたが,今シーズンデビューした新岩岳ゴンドラに乗車してきましたのでそのレポートをします。

[目次]
1.停留所(UNI-G)▼
2.搬器(キャビン)▼
3.日本一の支柱間スパン▼
4.新線と旧線の位置関係▼
5.国産の支柱構造▼
6.新ゴンドラ仕様と旧線比較▼
7.その他▼
8.番外:わいの一日▼
9.参考文献▼
ギャラリー▼

この新岩岳ゴンドラですが,プレスリリースは2022年9月でしたので運行開始まで約2年間は建設風景を眺めながら完成を非常に楽しみにしていました。また,純国産のゴンドラということで,オーストリアからの輸入品である野沢やニセコの新ゴンドラとどのような違いがあるのかを完成してから観察するのも楽しみにしていました。
そんで早速運行開始直後の12月に白馬岩岳へ駆け込みました。初めて見る岩岳ゴンドラの感想としては,乗り心地は抜群に良いのはもちろんながら純国産のゴンドラは野沢の長坂ゴンドラとは雰囲気異なるなぁと感じました。

1. 停留所(UNI-G)

リリースされた記事には,「国産の索道機械”UNI-G"では国内初となる10人乗りゴンドラ」と記載されています。UNI-G?とはなんぞやというと,山麓山頂の停留所のタイプのことで下の写真のような形状の山麓山頂停留所のことです。このUNI-Gですが,目新しいものではなく国内だと2004年建設のテイネエイトゴンドラが初だったと思います。

入口は岩岳らしく木目のおしゃれな感じになっており,バリアフリーにも対応しています。近年のゴンドラは,緊張装置の技術進歩によりゴンドラ駅を2階に設ける必要がなくなったため乗り降りが楽で助かります。

山頂駅も山麓と変わらずUNI-Gを採用。

2. 搬器(キャビン)

キャビンは先代のノアとは比べ物にならないほど静かで快適でした。ただ少々辛口評価をすると,握索機とキャビン間のサスペンダーが無塗装なことで若干のダサさを感じてしまいました(自分だけ?)。最近建設のゴンドラである石打,野沢,ヒラフはどれも黒塗装されておりキャビンと一体感があります。また,新岩岳ゴンドラはOMEGAⅣと一世代前のキャビンを採用しているのでサスペンダーもごつく余計に無塗装なことが目立っています。さらに,プレスリリース時の記事にはあったキャビンのスキー場ロゴがないのも少々残念です。(見た目だけで言えば先代のノアの方が個人的には好みです。)
八方尾根のアダムも新ゴンドラ建設が発表されていますが,どのようなキャビンが採用されるのかは今後の楽しみです。

少々辛口評価をしましたが,そうはいっても窓面積が多く大パノラマを望めるのは非常に良きです。

3. 日本一の支柱間スパン

私が一番驚いたのはゴンドラの高さです。下の写真のように旧線は谷を沿うような形で架けられていましたが,今回は谷を飛び越える形で架けられています。どうやら一番高いところで90mもあるらしく,かなりスリリングです。また,下の写真は7~8号支柱間で撮ったものですが,ここの支柱間スパンは430mもあり国内のゴンドラ(単線自動循環式普通索道)では最長となるそうです。
支柱が少ないのはゴンドラの大型化が可能となったため,支柱一本当たりの荷重を大きくでき必然的に支柱数を減らすことができる技術の進歩によるものです。



4. 新線と旧線の位置関係

新ゴンドラは,旧ゴンドラの真横に建設されています。山麓駅は旧線より駐車場側,山麓駅は10mほど高い位置になったため利便性が向上しており,山頂レストランに行くにも以前よりスイスイになりました。

5. 国産の支柱構造

長坂ゴンドラ,エースゴンドラは支柱も輸入品ですが,この岩岳ゴンドラは支柱も国産です。最近の多くのゴンドラは丸型鋼管一本支柱が採用されていますが,本ゴンドラは高さがある支柱は角型鋼管4本支柱になっているのが大きい特徴です。丸型鋼管が主流の今時では珍しいです。
▲国土地理院図より

最終支柱(11号柱)は珍しく二又の支柱になっています。苗場のドラゴンドラにも似たような支柱がありますが,久々の採用と思います。

一般的な高さ(15m程度)の支柱は,丸型鋼管を採用していました。

6. 新ゴンドラ仕様と旧線比較

速度も1.0m/s向上し,輸送能力も約30%アップしています。なお,路線免許は1986年の旧線時代のものを流用しているようです。
それにしても出力720kWはかなりデカいです。旧線は510kWだったようですので,40%もアップしています。

■旧岩岳ゴンドラリフト"ノア"
●線路傾斜こう長:2,183 m
●高低差:    531 m
●輸送能力:   1,350 p/h
●速度:     5.0 m/s
●定員:     6 名
●支柱数:    22 基
●索道メーカ:  安全索道
●搬器:     東急車輛(SP77)
●方式:     単線自動循環式(6-MGD)
●営業期間:   1986年12月~2024年10月

■新岩岳ゴンドラリフト
●線路傾斜こう長:2,205 m
●高低差:    537 m
●輸送能力:   2,460 p/h
●速度:     6.0 m/s
●定員:     10 名
●支柱数:    11 基
●索道メーカ:  日本ケーブル
●搬器:     CWA(OMEGA Ⅳ)
●方式:     単線自動循環式(10-MGD)
●営業期間:   2024年12月~

7. その他
旧岩岳ゴンドラ1Fのセンターハウス受付横には日本ケーブルからの素敵な記念品がありました。

旧岩岳ゴンドラ1Fのセンターハウスでは,様々な方からの開業祝のお花が沢山。

8. 番外:わいの一日
ゴンドラの写真を撮影しながら朝一滑走はべらぼうに気持ち良かったです。
今シーズンは雪も多く12月中旬で低山の岩岳でもゴンドラ山頂から山麓まで滑走できました。
▼気持ち良すぎで飛んで行っちゃいそうな斜面(´▽`)

10時半まで滑ったらのんびりもぐもぐタイムとしました。今回は白馬マウンテンハーバーのCityBakeryでご飯としました。

プレッツェルクロワッサンサンド(白馬ポークのやつ)を頂きました。たしか飲み物とセットで1,750円だった気がします。

シーズン初めということがありマウンテンハーバーの席も空いており,のんびり読書タイム。この新潟ゲレンデガイドですが無料なのにかなり充実した情報が載っており毎年参考にさせていただいてます。

良い感じに滑り終わったところで,南信駒ヶ根にワープして明治亭のソースカツ丼を食らいました。(昼飯のクロワッサンサンドはおいしかったですが量は少なかったのでガツンとしたものが食べたくなり…)

この日の宿は久々の飯田の超宿。この宿は2回目でしたが,受付時に「またお越しいただきありがとうございます」と言われ,些細なことですがこんなことでまた泊りに行きたくなるチョロ客です。

持ち帰りたくなるような飯田城桜丸御門が描かれた温泉バック。なんか素敵だったのでついつい撮ってしまいました。

9. 参考文献

(1)「白馬岩岳」のゴンドラリフトが38年ぶりにアップデート!360°パノラマビューが楽しめる10人乗りの新ゴンドラリフト、2024年12月20日より運行開始
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000084.000068296.html
(2)「⽩⾺岩岳マウンテンリゾート」、総投資額21億円で輸送力・耐風性・静粛性に優れた新ゴンドラリフト導入を決定〜世界水準のマウンテンリゾート実現に向けて2024年12月開業予定〜
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000036.000068296.html
(3)NEWゴンドラリフト誕生
https://iwatake-mountain-resort.com/gondola
(4)岩岳の新ゴンドラ・オープン。7分間の天空散歩、360度のパノラマビューを堪能しよう
https://steep.jp/mountain/101574/

■ギャラリー■